イタリア家族風林火山

ヤマザキマリ『イタリア家族風林火山』、ぶんか社、2008


ヤマザキマリのコミックエッセイの続編。前作よりこちらのほうがおもしろい。前作は、作者の周囲の人々の日常みたいなことだったが、こちらはそれに加えて、作者が結婚したり出産したりする経緯その他がかいてある。

まず、作者のイタリアの家族はけっこうな資産家だ。端から端まで80メートルある家、200ヘクタールのとうもろこし畑、日本とは違うといっても、それだけの地主なのだからすごい。あまり農家の生活っぽくは見えないのだが…。

そして14歳年下の夫。結婚時に作者は35歳、夫は21歳。これも相当すごいな。そしてこの時点で、作者は6歳の子連れ。てっきり作者の子供は現在の夫との子供だと思ってたら、そうではない。作者が絵描きで、その時の恋人が詩人だったそうな。甲斐性なしの恋人を振って、シングルマザーになったわけだが、これも並の根性ではできないこと。

だいたい21歳の男が14歳年上で子連れの女と結婚すると言ってきたら、日本では確実に家族が文句を言ってめんどうなことになっていると思うが、このマンガではそういうことを言われた形跡はまったく見えないし、そんなことを周囲が問題にしているようにも見えない。イタリア人は違うねー。

最後のエピソードは作者の出産のおはなしになっているのだが、これもフニャフニャした日本人にはできないようなパワーを発揮しまくっている。子供を育てるために、画家からマンガ家に転向したということなのだが、「テルマエロマエ」のヒットの前にいろいろあったのがわかって感心した。というか、このマンガと並行して「テルマエロマエ」も描いているので、すでにヒットはしていたわけだが…。

松田洋子が友人で、リスボンに観光に来たのに原稿を手伝ってくれる話とかもあって、それもおもしろかった。おもしろい人の周りにはおもしろい人が集まるというおはなし。