新家族計画 1巻

卯月妙子『新家族計画』1、太田出版、2001

同じ作者の『実録企画モノ』があまりにおもしろかったので、こちらも読んでみることにした。こちらは「フィクション」だと明示されているが、作者の体験が相当濃く入っているようだ。

登場人物は風俗嬢トキコ(24歳)、その子供タクジ(5歳)、トキコの恋人のような、なんだかよくわからない関係のAV監督(ただし妻子持ちの上、複数の愛人あり)、オヤジ(42歳)、その他。

トキコのダンナが家からふらふらと出ていってしまい、トキコがオヤジとたまたま出会って関係をもち、その後偶然再会してお互いの正体がわかり、関係が続いていくというおはなし。トキコはほとんど人格が破綻していて、育児、家事はほとんどできない。タクジは5歳ということになっているが、ほとんどローティーンくらいのませた子供。オヤジは、トキコには厳しく、タクジには父親のような関係になっていくのだが、この3人の関係は馴れ合わず、緊張感があって、非常にいい描き方。

ただし、全体としては非常に下品な作風で(エロいのではなく、単に下品)、セックスシーンも(まったくエロくはないが)頻出し、読者をわざと不快な気持ちにさせるように描いているような感じ。

画は、『実録企画モノ』とは、かなり違った印象で、あちらが子供の落書きみたいなものだったのに(それはそれでいい味を出していたのだが)、こちらはなんとかプロっぽい画になっている。しかし非常に汚い画。

なので、いろんな意味で読者を選ぶだろう。2巻までで中断してしまっているらしいが、原因は作者の精神病だとのこと。とりあえず2巻も読むが。