坂道のアポロン 1-9

小玉ユキ坂道のアポロン』1-9、小学館、2008-2012

最終回の放送が今週の土曜日にあるというのに、近所のレンタルコミック屋に全巻あったので、借りて読んでしまった。自分でも堪え性のなさを反省。しかし、これはやはり名作。さきにアニメを見ているので、ストーリーは基本的にわかっているのだが、それでも、いちいち感動する。

また、アニメ版でどのエピソードを切り捨てているかがわかって、これもおもしろかった。薫と律子が付き合いだしてからの関係はかなりカットされていたわけね。マンガもアニメも、基本的には友情と恋愛の二本立てで追いかけているのだが、どちらかと言えば、アニメ版はやや友情に振った感じだろうか。いや、前半では必ずしもそんなわけではなかったので、シリーズ構成と脚本家で緩急の付け方をかなり工夫しているのだと思う。

マンガ版は、当然のこととはいえ、音楽が流れるところでは曲名だけが紹介されるわけで、ジャズを知らない人はわからない。それでも、淳一と千太郎の最後のセッションのくだりなど、音が聞こえていないのに空耳で聞こえてくるような気にさせるので、さすがにそこは作者のマジックが働いているらしい。

最終巻の9巻は、マンガ版でもかなり展開が詰め込まれている感じで、怒涛のように話が進む。最後まで読んで、まったく予想が裏切られ、さわやかな敗北感が…。こう来たのか。しかし、この内容はとうてい30分枠のアニメには詰め込めないと思うのだが、どうするのだろう。やっぱり土曜日がたのしみになってきた。

連載で読んでいた人はきっと最終回で落涙しただろう。自分もちょっと泣けた。いい話を読めてよかった!