解剖と変容 プルニー&ゼマーンコヴァー|チェコ、アール・ブリュットの巨匠

「解剖と変容 プルニー&ゼマーンコヴァー|チェコアール・ブリュットの巨匠」、広島市現代美術館


これも月曜日までかかっていた展覧会。また最終日になってからあわてて行ってきた。

アール・ブリュット、素人美術だけど、はっきり言ってキチガイ美術だ。このルボジェ・プルニーという人と、アンナ・ゼマーンコヴァーという人が今回の展覧会の主役なのだが、特にプルニーのほうがよりキチガイっぽい。

人体の中身が主要なネタで、異常に細かく円を描きまくってその中に、脳とか、顔、手足、胴体ほか、人体パーツが描きこまれているというもの。この描き込みは、生半可なパワーでは出ないもので、ここの美術館によく出てくるなぞなぞみたいなアートとはまったく違ったもの。字の書き込みも非常に細かく、見ているだけで、こっちの気持ちもキチガイ方向に引きずられそうな勢い。とにかくえらい人である。

ゼマーンコヴァーのほうは、絵に布や糸を貼りこんで作品をつくっているが、こっちも描き込みと糸や布の立体的な質感と、なんだかわからない気持ちの悪い形状で、惹きつけるものがある。

今日は祝日だったので、学芸員の解説がついていたのだが、キチガイの作品にいちいち解説など無用なので、迫力を十分堪能してきました。

この展覧会のもうひとつのアイテムは、アール・ブリュットの収集家であるブリュノ・デュシャルムという人が制作した「天空の赤-アール・ブリュット試論」という映画の上映。美術館のホールを使って一日4回くらい上映していたのだが、この映画、90分くらいかかる。さすがに90分は付き合えないので、これはスルーした。ちょっとのぞいてみただけだけど、けっこうお客は入っていたようだ。

キチガイの力おそるべし。まあ売るとかウケるとかいうことが目標ではないからなのか、とにかく制作物への異常な集中はただものではない。まあただただすごいわ。