しいちゃん日記

群ようこ『しいちゃん日記』、マガジンハウス、2006

著者の猫日記。しいちゃんというのが飼い猫の名前。

著者はほんとうの「猫かわいがり」状態で、仕事以外のほとんど全部のことが猫に投入されているような感じ。よそに預けることができないので、旅行にもいけない。しかしそんなことは著者にとってはたいして問題にならないらしい。子供はしばらくすると成長して次第に親の手を離れていくが、ペットは年をとってもずっとペットなので、著者は、あらゆる愛情を猫に与えている。

どのくらい信じていいのかわからないが、著者の中では、ちゃんと猫との意味のある会話が成り立っているらしい。少なくとも、著者は猫の細かい仕草や鳴き声の「意味」がわかっていると思っている。さすがに猫を飼ったことがないと、この辺の記述を読むと、ほんとかい、と思うのだが、そういうものらしい。

隣の老猫、ビーちゃんが老衰になって、死ぬくだりは、人間の死以上に泣かせる。ビーちゃんとしいちゃんの、人間関係そのものみたいな関係や、ビーちゃんが死んだ後のしいちゃんの態度にも強いリアリティがあり、読んでてしみじみする。

うちは猫飼えないから仕方がないが、老人になったら猫を飼える部屋に移って猫飼うかな。自分が猫より先に死んだら、心残りだろうと思うが。