ゆるガキあやちゃん

柘植文『ゆるガキあやちゃん』、ぶんか社、2012

同じ作者のマンガ『こどもエイティーズ』の実質的な第2巻。タイトルが変わっているのは、営業上の配慮?まあ最近は、マンガも一部のお化け作品以外は売れなくなっているらしいのでたいへんなのだろう。

作者があとがきでも書いているのだが、1980年代前半、団塊ジュニア世代が子供だった頃、まだ家庭用ゲーム機が普及する前の子供の日常生活マンガ。自分は著者よりちょっと世代的に上なのだが、このマンガを読むとやっていたことは大して変わらない感じがする。テレビといえばドリフだったし大きな缶入りクッキーが贈答品としてたまーにやってきて、その取り合いをきょうだいでやっていたところも同じ。流行っていた歌手とかはたぶん違うし(その系統の話題は出てこない)、豊かさの程度もちょっと変わっていたはずなのだが、自分のことと置き換えてもあまり違ってないなー。

傑作なのは、巻末に付いている、作者が「ガチャガチャ」を求めて、宇都宮市の「ヤマトコスモス」に取材に行く番外編。今も昔みたいな安いガチャガチャって現役で活躍してるのだ。自分は大人用のガチャしかやらないから知らなかった…。とはいえ、会社の人へのインタビューでは、今のガチャガチャはもはや子供がやるものではなく、大人が感傷的にやるものらしいので、根本的にはみんな大人向けになっちゃったらしい。昔よくあった、版権無視のキャラクターもののパクリはさすがに日本国内では簡単にできないらしく、なりをひそめてしまったそうだ。

柘植文のマンガは、『野田ともうします。』でもそうなのだけど、対象にどっぷり浸らないで、作者が微妙に距離をとっているところが好き。最近よくあるアラフォー女性作家のコミックエッセイみたいなものって、かなり飽きてきたが、この人のマンガはどれもいいと思う。