さかのぼり日本史 8 室町・鎌倉 ”武士の世”の幕開け

本郷和人さかのぼり日本史 8室町・鎌倉 ”武士の世”の幕開け』、NHK出版、2012

NHK教育テレビの「さかのぼり日本史」シリーズの中世の巻。これはテレビ放送をまとめて本にしたものなのだが、元の番組はみていない。放送は4回シリーズでひとまとまりで、時期の新しい出来事から古い方にさかのぼっていく構成。この本で取り上げられているのは、南北朝の合一(1392)、室町幕府の成立(1336)、撫民政策の開始=御成敗式目に撫民規定を挿入(1253)、武家政権の誕生(1180)の4つの事件。

いつもの本郷節で、どの部分もわかりやすく書かれている。ただし、日本史にほとんど馴染みのない人のための番組であり、本なので、著者の本を読み慣れている人にとってはやや物足りないところがある。それでも、武家政権の誕生から、公家、朝廷を吸収した統一政権を樹立した足利義満までの間には、単なるもののふ、乱暴者から、統治者に向かう武士の「学び」があったのだという著者の視点は明確に示されている。

史料は、原典の写真入り、読み下し文つきで引用されており、このサイズの本にしてはけっこう豊富に入っているし、内容はさくっと読めるので、誰にでも入りやすい本だとは思う。参考文献リストも、ちゃんとついている。