マンガ業界の◯◯な話

「マンガ業界の◯◯な話」製作委員会編著『マンガ業界の◯◯な話』、アスペクト、2012

マンガ業界の裏話本。著者は、「ライター、編集者、マンガ家、アシスタントほか10数名」とある。「マンガ業界の都市伝説」のパートはそんなにおもしろくはなかったが、これは、自分がたいしてマンガを読んでいないためだろう。

「お金」「トラブル」「業界のしくみ」「ためになる話」の後半4章はおもしろかった。出版業界の例にもれず、というよりマンガこそいまや出版業界の典型なのだが、大ヒットを出す一部のマンガ家と、それ以外のほとんどのマンガ家で業界が構成されているのは納得。2010年のマンガ売上額が4091億円、うち単行本の売上額が2315億円。もはや雑誌の赤字を単行本で補完するビジネスモデルも成り立たなくなっているという。どこも不景気なのだ。

原稿料は1枚1万円から1万5千円。これだと週刊連載を持っていれば月収60万円余になるが、実際はアシスタントその他の経費がかかるために、これでもふところは苦しいという。単行本が出ても、500円の本が1万部売れて、やっと50万円。バカ売れしていなければあまり収入にはならない。わたしが好きな、マイナーマンガ家の皆さん(自分は大ヒット作はあまり読まないので)は、ぎりぎりの生活だということ。

すべての記事が見開き2ページに収められているので、非常に読みやすい。1時間ちょっとで読める。最後に載っている『魔法先生ネギま!』の赤松健(絶版漫画をネットで公開する会社を立ち上げている)への業界事情インタビューもおもしろかった。たしかに自炊代行がマンガ家や出版社から嫌われるのはわかるわね。自分は使っていますが。マンガはさっさと新刊全点、電子書籍で出るようにしてほしい。でないとめったに変えないし。