宮崎駿は左翼なんだろう

井上静『宮崎駿は左翼なんだろう』、世論時報社、1998

宮崎駿映画の評論本。著者は、医療過誤問題を主に扱っているジャーナリストとのこと。このタイトルは著者の友人が言った言葉だそうで、「赤から緑に移った左翼=宮崎駿」のこと。まあそりゃそうですが…。

本の内容はかなりヒドイ。とにかく話があっちこっちに飛び、飛んだ内容が宮崎駿とあんまり関係ない。そして飛んだきり、話が元に戻ってこない。支離滅裂ということ。本のはじめの部分は、佐藤健志ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』、文藝春秋、1992の批判である。あの本はくだらなかったので、貶してもどうということはないが、批判の部分が終わって自分の批評になると言いたいことがグダグダ。これでいいんですか?

宮崎駿は左翼、エコロジーフェミニズムを上手に取り込んでいる、コミューン主義者=コミュニストです、そうですけど、だから何?山本薩夫今井正大島渚は左翼性を表に出しすぎて失敗?そうかあ?山本薩夫など、左翼映画でもめちゃめちゃおもしろいですが?3ページに一つくらいの割合でなんだか変なことを言っている。なんだかねぇ。