ひみつのアッコちゃん 完全版 1巻

赤塚不二夫ひみつのアッコちゃん 完全版』1巻、河出書房新社、2009

ペリアンの展覧会の帰りに、まんが図書館に行ってきた。で、借りてきたのがこれ。こんな本が出ていたのか…。

このマンガ、まったく読んだことがなく、1969年版のアニメしか見ていない。アニメもリメイク版、再リメイク版は見ていない。なので、非常に限られた知識しかもっていないのだが、この本に収録されている1962年『りぼん』初出時のマンガは、とにかくアニメとはまるっきり違うわ。

絵柄も、キャラ設定も、登場人物も違うところだらけ。とにかく赤塚不二夫、絵がヘタ。こんなにヘタな絵がりぼんに載っていたというのに感心。まあ、大昔のマンガって、あんまり絵がうまくないのがあたりまえなので、そんなもんかという感じだが。

絵がヘタなせいもあって、アッコちゃんがあんまり可愛くない。そもそもアッコちゃんの設定自体が、アニメ版のような「かわいい女の子」にはなってない。赤塚不二夫の絵では「かわいいキャラ」と「かわいくないキャラ」の描き分けがちゃんとできてないのだが、目がキラキラしていない状態が「ふつうの女の子=アッコ」らしい。しかも友達のモコちゃんはアニメではあからさまに不細工に描かれていたが、こちらではごく普通に描かれている。アッコもモコもそんなに変わらないのだ。アッコをヒロインとして強調するために、アニメではだいぶ設定を変えたらしい。

モコちゃんとモコちゃんの弟以外のキャラ、大将とか少将とかも出てこない。それよりなにより、アッコちゃんのひみつの鏡はコンパクトではなく、お盆サイズの大きな鏡だし(アッコちゃんは鏡を持ち歩くのにいつも苦労しているようす)、「テクマクマヤコン」という呪文の設定がない。単になりたいものの名前を「逆さよみ」すればなれますよということになっている。たぶん、これも鏡をおもちゃとして販売するとか、アッコちゃんの魔法少女性を強調するとか、いろいろ思惑があったんだろう。

話はつまらなくはない。というか、古いマンガとしてはふつうに読める。しかし、アニメとはあまりに落差があるのでとにかく驚いた。設定が部分的に共有されているだけで、基本的には別の作品だ。いやー、おどろいた。