ゴヤ 光と影

プラド美術館所蔵 ゴヤ-光と影」、国立西洋美術館

これは次の日曜日までかかっている国立西洋美術館の展覧会。本当は、これではなく、東京国立博物館の「北京故宮博物院200選」に行くつもりだった。ところがおそるべし、館内に入るまでの待ち時間が90分、それから目玉になっている「清明上河図」までの待ち時間が210分だという。つまりみるまでに合計5時間かかるということ。

自分の感覚では、どんなに貴重な美術品だとしても、そのために5時間並ぶのは無理。この前のNHK教育テレビ日曜美術館」で、流していていたので、それでいいことにした。それにしてもいったい誰が並んでいるのか、謎だ。どうせ並ぶのなら、いま台北故宮博物院でやっている蔵出し展覧会に並べばいいのに。あっちの方がいいものがたくさん出ているし。

それはいいとして、こちらのゴヤ。並ばずにチケットを買えて、内容もよかった。多くは版画やそのためのスケッチで、油絵は「着衣のマハ」と、国王や貴族の肖像画。この肖像画が非常によいもので、ゴヤが宮廷画家を長く続けられたことに納得させられる。だいたいゴヤは、ブルボン王家、占領後のジョゼフ王、さらに復辟後のブルボン王家と、ずっと宮廷画家の地位にあった人で、アホな反体制運動家みたいな人とは違うのだ。

版画は、「ロス・カプリーチョス」「戦争の惨禍」「闘牛技」「悪夢」「妄」のような主要な画集の作品が並べられていて、見応えのある展示。国立西洋美術館の自前の所蔵品もあるが、6割以上はプラド美術館から来たもの。震災で気の毒がって貸してくれたのかな?版画はサイズも小さく、近づいてよく見ないとわからないので、相当疲れた。一回見た程度では、十分ではないのでもうすこしで図録を買うところだったが、持ち帰るのに困るのでそれは断念。まあ、ゴヤの画集は図書館に行けばあるからそれでいいわ。ハガキを何枚か買って、それでガマン。ミュージアムショップに堀田善衛浩瀚な評伝があったが、これも図書館にあるだろうから、買うのは思いとどまった。あれは読みたいが、あまりにも長いし…。