「なぜ?」から始める現代アート

長谷川祐子『「なぜ?」から始める現代アート』、nhk 出版新書、2011

著者は東京都現代美術館チーフキュレーター。1979年学部卒業とあるので、1950年代後半生まれか。生年は書いていないが、何か理由でもあるのか。

タイトル通り、現代アートを作家の問いの観点から明らかにしようという本。はっきり言って、挙げられている作家の8割くらいは知らない人。また作品の写真もないことが多い。まあ現代アートでは、作品の写真などあってもなくても大して意味はないのでどうでもよいから、これは仕方がない。

それでも知っている作家についての著者の説明は非常にわかりやすくて面白い。このあたりはさすがにキュレーターという感じ。それでも読んでみて、だから一体何?と思うような作家が半分以上はいるが、作品そのものを見ていないので、これもまあ仕方がない。

著者を含めて現代アートの作家や関係者に聞いてみたいことは、自分達が関わっている作品が、現代アートが好きな極1部の人除いてはほとんど誰にも見られていない、ということどう思っているのか。前衛なんだからそのくらいは当たり前と思っているのか、それとも昔の芸術らしい芸術が好きな多くの人の方に自分たちの方から近寄っていく必要があると思っているのか。この本そのものが、著者の答えなのだと思うが、このレベルについてこられる人は、社会の中の上ずみ3%くらい。それでも東京はこれが成り立つからいいが、田舎で現代アートをやっていくのは本当に大変だと思う。

とりあえずこの本で取り上げている作家は名前を覚えておきたいので、この本は買っておくことに決めた。