あの日からのマンガ

しりあがり寿『あの日からのマンガ』、エンターブレイン、2011

しりあがり寿の震災ネタマンガ。ほとんど笑いはとっておらず、笑うところも乾いた笑いしか出てこない。もともとそういうふうに描いてあるのだからしかたがないが。

悪いけど、これはつらくて読めないわ。しりあがり寿は、時事ネタにもけっこう鋭敏な人でだから、新聞の連載もやっているのだが、もうこれは対象との距離がとれてなくて、読んでいてつらくなるばかり。こういうこともきちんと追体験しておかなければいけないと思う人とか、震災の記録を誰かが残しておかなければいけない(そんなものはいっぱい残っているけど)という使命感とか、信念がある人には読めるのかも知れないが、自分には無理。半分読まないで投げた。

それにもうひとつ言えば、エネルギーや原子力の専門家ではない人が、ちゃんと勉強しないで気分で終末論みたいな話を書いていしまうのはやっぱりまずいと思う。終末論を煽りたくてわざとやっているのなら、それでもいいが、単に滑っているとしか見えない。しりあがり寿はけっこう昔から読んでいるけど、これは残念な作品。