米軍基地の現場から

「安保改定50年」取材班『米軍基地の現場から』、高文研、2011

沖縄タイムス、神奈川新聞、長崎新聞の3つの地方紙による、米軍基地レポート。なんでも「第16回平和・協同ジャーナリスト基金賞」、「第15回新聞労連ジャーナリスト大賞 優秀賞」だそうだが、そういうレベルの賞にふさわしい程度の本。

地方紙だったら、基地が拡大していく過程でどういう軋轢や推進力があったのか、基地に反対している側と強調している側はどういう政治的立場や利害関係に立っているのか、といったことをいろいろと取材できる立場にあるはずなのに、そういう内輪話はぜんぜんなし。お決まりの「基地強化、日米安保協力が推進する戦争への道」みたいな話ばっかりである。そんな話なら全国紙にやらせておけばいいわけで、地方紙がやる利点は何もない。

また特に沖縄タイムスが執筆したと思しいところは内容がひどく、まあ沖縄タイムスは今日も平壌運転だなあという出来。社内の人はこういう記事を読んで何かおかしいとは思わないのだろうか。

最後の識者インタビューに柳井俊二五百旗頭真の話をとってきて、バランスをとったつもりなのかもしれないが、焼け石に水。というか、この内容で識者インタビューを取るより、他に調べることがたくさんあるだろうと思う。あとがきで長崎新聞の報道部長が「田舎者」と自嘲しているが、まったくしゃれになっていない。紙の無駄遣い。