美食の歴史

アントニー・ローリー『美食の歴史』、創元社、1996

タイトルは美食の歴史となっているが、実際は、フランス料理の歴史という本。中世から歴史をたどりながら、フランス料理がどのように現在の姿になったかを、丁寧にフォローしている。
一応現在までの歴史を記述しているが、中心的な部分は、中世から近代の初めくらいまで。この部分が非常に面白く、料理そのものだけではなく、マナーや厨房での役割分担など、フランス料理が全体として発達していく、様々な局面に対してページが割かれている。
本の最初の部分に、フランスが別に美食の国などではないことはフランス人自身がよく知っていて、普通のフランス人は美食などしていない、と書いてあることには非常に納得。また、現在のフランス料理は多くの部分のイタリア料理から得ているのに、そのことがあえて無視されていると書かれている。
このシリーズの例として、図版が非常に多く、料理の歴史を目で楽しめることは大きなメリット。