ニセドイツ1

伸井太一『ニセドイツ1』、社会評論社、2009

東ドイツの工業製品についての本。最初の所でトラビことトラバントが取り上げられていて、むちゃくちゃなつかしい。なつかしいといっても、本当にトラバントの実物が走っているところを見たわけではないのだが。いちおう高級車扱いのヴァルトブルクとか、バイクなどいろんな東独車がゾロゾロ出てきてタイムスリップしたみたいだ。

車以外も、カメラとかラジカセとか、年代物のすごいデザインのものばかりで、20年前までこんなものを買うためにドイツ人が非常に苦労していたという事実が非常に新鮮。特にいいのは住宅で、日本だと1960年代くらいの住宅が東ドイツでは元気に役目を果たしている。

中国から昔の香りがなくなりつつある今日このごろ、昔の社会主義国のテイストをなつかしむのはなんとも言えない郷愁を誘う。こんなものがあるのはいまどき北朝鮮くらいだろう。といっても北朝鮮には自国製の車はろくにないのでやはりこのテイストは味わえない。趣味者にとっては貴重なご本。