このタワーがすごい!

鈴木重美『このタワーがすごい!』、中公新書ラクレ、2011

日本を中心とする塔建築の紹介本。東京スカイツリーから、法隆寺五重塔まで、新しいもの、古いもの、北海道から沖縄(ひめゆりの塔も入っている)まで、日本全国、ひととおりの塔は紹介されている。

また、地震、戦災、火災その他でなくなってしまった塔もちゃんとカバーされている。相国寺の塔、安土城、大阪の眺望閣、凌雲閣などなど。

巻末には一覧表もついているので、塔をまわってみたいときには便利。とりあえず役には立ちそうだ。

しかし、著者の文体が個人的にどうも合わない。あまりよけいなことは書かずにひたすら記録とデータだけあげてくれたほうがいいのだが。こういう趣味系の文章は、ちょっとしたことで引っかかると、読む気が著しくそがれる。京都タワーも、住民はろうそくと思っているが、設計者は灯台のイメージで作ったという話は(この説もちゃんと本文中で紹介されているのだが)有名だから、ちゃんとその説にしたがえばいいのに。あまり思い入れで文章を書いて欲しくない。