乙嫁語り 2巻

森薫乙嫁語り』2巻、エンターブレイン、2010

もう3巻は出ているのだが、図書館で予約していた2巻がやっと来た。そんなの買え!と言われそうだが、なぜ買わないかというと、マンガは買ってしまうと一気読みしてしまうので、それを防ぐため。それと、置き場所に困るため。

1巻はほぼ導入部だったので2巻では話が本格的に展開するかと思ったが、まだだった。しかし、アミルの実家の者どもがアミルを取り返すために、エイホン家を襲撃してくる下りは十分に盛り上がる。カルルク可愛いし、健気。ある意味、理想の夫だな。

もうひとつの見どころは、エイホン家の刺繍の伝承についての下り。刺繍の模様の細かさがこのマンガの見どころだが、刺繍がこの時代の中央アジア社会でどういう意味を持っていたかが、ていねいに説明される。高祖母にまでさかのぼって文様が伝承されているのだ。3代前のことはもうわからないような日本の一般庶民とは全然違う。このマンガがどういう社会を描いているかということを一番わかりやすく示すエピソード。

この巻から、イギリス人探検家のスミスが登場。見たところ、人がよさげな感じだが、まだ正体はよくわからない。ちょうどイギリス、ロシアのグレートゲームの時代なので、このキャラがお話の展開で決定的に重要になっていくはず。このマンガを読んでいる主要な理由がこれなので、今後がたのしみ。

この巻では、あとがきマンガがていねいに描かれていて、読者の質問に答える形で、物語の背景についていろいろ説明されている。次の巻がまわってくるのが待ち遠しい。