おにいさまへ・・・

池田理代子(原作)『おにいさまへ』1-8巻、中公コミック・スーリ アニメ版、1992-1993

これは池田理代子の原作を読んでいないのに、このアニメをコミックに落としたバージョンを読んでしまった(図書館ではアニメコミックしか貸し出ししておらず、原作は館内閲覧だけ)。まあすごい話で、びっくりした。

「ベルばら」の革命前の貴族社会がそのまま移植されたような、お嬢様女子校。その中に「ソロリティ」という貴族クラブみたいなものがあって、所属メンバーは特権階級扱い。主人公の御苑生奈々子は新入生として入学後、ソロリティのメンバーになるのだが、友人関係、百合関係、男女関係、血縁関係がドロドロにからんでいったあげく、ついに革命が起こってソロリティは打倒されてしまいました・・・という話。あまりにも話がドロドロなので、細かい展開は書ききれない。

しかもキャラクターが濃い人ばっかり。ソロリティの会長「宮さま」ほか、「薫の君」「サン・ジュストさま」ほか、何時代のどこの国の話か、性別もほんとに女なのか(まあ百合ドラマだから、そこは意図的にあいまいなことにされてると思うが)、だんだんわけがわからなくなってくる。そのくらいお話の世界ができあがっていて、圧倒的な力で引っ張り込まれる。

特にこのコミック版7巻、8巻の怒濤の超展開にはやられた。原作からは相当書き換えられているらしいが、はじめに張られていた伏線がちゃんと生きてきて、タイトルの「おにいさまへ・・・」も内容を深い意味で表現している。全巻読み終わって、感動で言葉が出ない。大傑作だ。

このアニメコミック版には、アニメのスタッフ、キャストの一覧表が出ているのだが、出崎統監督、杉野昭夫作画監督、高屋敷英夫、金春智子シリーズ構成という豪華なメンバー。声優陣も、笠原弘子 戸田恵子 小山茉美 島本須美というもの。このドロドロドラマがNHKBSで実際に流れていたというのがすごいと思う。なんとしてもアニメを見なければ、と思って探してみたが、DVDはレンタルで8本。39話もあるのか・・・。ということは20時間。まとめて借りれば2000円ちょっとで借りられるが、見る時間が捻出できないよ。1巻ずつ借りるか。その前に池田理代子の原作の方を読まなければ。これは電子書籍でも出ているとわかったので、とにかくゲットすることに決定。