もうすぐ私も四十歳

岸本葉子『もうすぐ私も四十歳』、小学館、2000

この前小説がラジオドラマになったものがけっこうおもしろかったので、岸本葉子のエッセイを読んでみることにした。小さい公立図書館の分室に行ったところ、これともう一冊あったのだが、こちらを借りてきた。いまから十年前のエッセイをいまごろ読むのもどうかとは思ったが・・・。

あっというまに読めた。1時間もかかっていないと思う。だいたい200ページちょっとの本だが、マンガより早く読めるかもしれない。というのは内容がまるごと身辺雑記だからである。初出をみると、「ミセス」「中学教育」ほか、旅関係の雑誌が少し。巻末の数編が書き下ろし。読者層が主婦だったら、日常の家事の内容をつづったものでもそれなりに需要があるのかもしれない。

まあ変に時事問題とか、社会的な内容に振り回されたようなエッセイを書かれても読むのに困るということはあると思うので、そういうことに関係なく、サクサク読めるというのは、それなりにアリかもしれない。ただし、最後の書き下ろしの文章はちょっと違っていて、「親の老後が先決問題」「お金は、どうする?」「女の体に何が起きる?」「四十になるって、どんなこと?」という具合でタイトルにそった内容になっている。

これが書かれた時点では後でご本人が大病されるということは予想に入っていないだろうから、体の心配は更年期の変化くらい。親の老後はちょっとたいへんそう。当時お父様が七十八歳になるとある。お母様は亡くなられたとのことだが、お父様は現在まだご存命らしい(かつ、面倒を見ているのは岸本女史)ので、この本での心配は現実になったわけだ。まあ、お金はお持ちらしい(この本にはそうは書いてないが)ので、大丈夫なのか。ここはあんまり人ごととは思えず、ちょっと考えた。

大きな図書館に行けば病気のエッセイもあると思うので、今度はそちらを借りてみるかな。