日本お笑い資本主義

ありむら潜釜ヶ崎<ドヤ街>まんが日記4 日本お笑い資本主義』、日本機関紙出版センター、1993

著者は、西成労働福祉センターの職員でありながらマンガも描いているという人。まあ釜ヶ崎の当事者である。ということで、内部の事情がいろいろ細かく描いてあるのかとおもったのだが、四コママンガは、ほとんどが時事ネタ(自衛隊カンボジアPKO派遣その他)の風刺マンガ。ストーリーマンガも、著者のキャラクター「カマやん」がインドやアフリカを旅行するというもの。釜ヶ崎の話はあまり入ってなくてがっかり。

これは巻末に著者の弁明があって、労組、市民団体向けの機関紙に掲載された時事問題批評のマンガが中心になっていて、この巻だけシリーズの他の巻と違う構成になっているので許してくれとある。ということでしかたないのだが、それにしても著者のお笑いのセンスはかなり悲惨。最初からお笑いじゃなくて、釜ヶ崎の生活のルポルタージュとして描いた方がいいのでは?まあ、もともと笑えない話だからマンガにしているのだろうが、それにしてもこのつまらなさは読むに耐えない。

というわけでおもしろくないのだが、92年くらいの時点だとバブルは飛んでいるので、その影響は釜ヶ崎にも容赦なく押し寄せていることはわかる。とにかく仕事がないらしい。いまよりはずいぶんましだったはずの90年代初めの時点ですらこうだったのだから、不況が続くと生活は悲惨なことになっているだろう。

コーネル大学文化人類学の卒業リサーチを釜ヶ崎でやっていたというアメリカ人による英訳がついているので、英和対訳本になっている。ということで英語の勉強にはなる。