グレゴリ青山のもっさい中学生

グレゴリ青山グレゴリ青山のもっさい中学生』、メディアファクトリー、2008

このマンガの扉に「もっさいとは- 野暮ったくてあかぬけないさま。京都でよく使用される言葉。」と書いてあった。「もっさい、って京都弁だったのか??」とおどろいてちょっと調べてみたが、もとは尾張弁だったらしい。しかし、実際にわたしが小学生のころ、京都市の某小学校ではこの言葉は使われまくっていたのだ。中学生以後はあまり聞かなかったが、とにかくなつかしい。

グレゴリ青山女史は1966年生まれなので、ちょっとわたしとは年代が違うが京都育ちで同じようなテレビを見ているので、この本のエピソードはなつかしいことばかり。昔は、薬屋の店頭に大きく「ぢ」と書かれた看板がたくさんあったが、そういう細かいことがちゃんとカバーされているところがとても好き。

指を二本合わせて、人の肛門につっこんで「カンチョー!」と叫ぶとかいうわけのわからない遊びが流行っていたのも、あるあるネタ。これもさすがに中学校ではやってなかったが・・・。

「もっさいメモリー」という実話ネタコーナーがあり、いろんなネタがあるのだがテレビのところで取り上げられている番組が、「クイズ100人に聞きました」、「一休さん」、「欽ドン!良い子悪い子普通の子」、「それは秘密です」、「柳生あばれ旅」、「影の軍団II」、「特捜最前線」、「ザ・ベストテン」、「3年B組金八先生」、「Gメン75」などなど。実はこの時期、わたしはほとんどテレビを見せてもらえない状態だったので、これらの番組はぜんぜん見ていなかったり、最近になってスカパー!で見ていたりするのである。

しかし、放送時に周りはリアルタイムで見ていたので(特に「ザ・ベストテン」)、この雰囲気はとてもよくわかる。特に歌番組は著作権関係がややこしくて、昔のものは再放送されない回が多いのだ。TBSチャンネルでもこれは再放送されていなかったはず。まあ、「特捜最前線」だとか、「影の軍団」シリーズとかは腐るほどやっているのだが。

グレゴリ女史はいまも京都在住だそうだが、たぶんスカパー!もケーブルテレビもつけてないだろうなあ。たぶんつけていたら、マンガを描くどころではなくなっているだろう。昔は家庭用ビデオもDVDもなかったから、再放送はとてつもなく貴重な機会だったけど、今は毎日朝から晩まで再放送だらけなのだから、一種のタイムマシンを体験してるようなもの。

しかし実際にタイムマシンを体験してしまうと、昔の記憶というものがいかに美化されていたか、時間の経過で記憶の内容がかんたんに改変されているか、すぐにわかっちゃうからなあ。グレゴリ女史みたいに記憶の中で反芻しているのがいちばんいいんだろうなと思う。