審判

田代まさし『審判』、創出版、2009

つい先日、二度目の実刑判決が確定した田代まさしの自著。基本的に『創』に連載していた記事をまとめたもの。なので、生い立ちから、最初の盗撮での「ミニにタコ」事件から、覚醒剤での最初の逮捕、二度目の逮捕、実刑判決、収監、出所までのことがほとんど書かれている。ただし、文章の時系列は変えてあるので、いったいいつ何をして刑務所に入るまでになったのかを順番に追いかけるのには手間がかかる。

読んでいると、非常に小心でプレッシャーに弱い人だということがわかる。これは薬物への身体依存というよりは、現実からの逃避の手段として薬物が使われているのではないかと思う。まあ、それも一種の薬物依存なのだが。

刑務所入りして、妻とは離婚、子供とも会えないようになってしまったことで、相当精神的にダメージを受けていることがうかがえる。もっとも、元妻のほうも精神的ショックでかなりやられていたようで、お互い打撃は大きかったようだ。といっても、まだこのころはCS放送の番組はあったのだからどうしようもないほどではなかった。今にして思えば、「いらっしゃいマーシー」は録画しておくのだった。さすがにもう再放送はないだろう。

著者本人の執筆した部分だけでなく、『創』編集長の篠田博之が書いているコラムや、吉田豪とのトークショーのようすなど、いろいろ載っていておもしろかった。刑務所と拘置所のようす、拘置所に比べて刑務所の待遇がいかに厳しいかというようなことも事細かに書かれていて、その部分もちゃんと書けている。

再度薬物で逮捕されたのは、今年になってからのことなので、もちろんこの本にはそのことは載っていない。あとがきの最後の文章が、「もう二度と道を踏み外さないってことだけは、ここに約束しておきたい」で終わっていることは、今となっては体を張ったギャグである。今度は懲役三年六月ということだが、前回は満期まで勤めたそうなので、今回もそうなるかもしれない。今回の逮捕の写真を見て、あまりにげっそりと痩せていたので驚いたが、刑務所ではまた痩せるだろう。これから少しでも著者によいことがありますように。