希林館通りII

森恵子『希林館通りII』、集英社、2000

現代美術館の帰りに、まんが図書館に寄ったらタイトルのとてもなつかしいまんがを見つけて、思わず借りてしまった。塩森恵子はわたしが子供の頃のスターで、わたしはまわりに隠れて『週刊マーガレット』の「希林館通り」をせっせと読んでいたのだ。これは単行本化された後、文庫で再発売されたので、家にもちゃんとストックがある。

まさか続編が描かれているとは知らなかった。この1巻だけで、本編の18年後くらいの後日譚という位置づけになっている。主人公の花梨は糸崎先生と結婚して、一児(もう高校生)の母。主婦。妹の柚子は、本編で花梨に言い寄っていて、最後に自分を振り向く高広と結婚していて、今も童話作家。子供はなし。姉の棗は、子供一人を育てているシングルマザー。下宿屋だった希林館は建て替えられて、塾になっている(当然教えているのは高広)という設定。もちろん三姉妹の母親も元気。

花梨が36歳か37歳という設定だけど、非常に若い感じ。これは作者がコラムに書いていて、「おばさん然とした主人公なんてつまらないからわたしは描かない。だいたい36歳なんてバリバリに若いだろ!」ということ。そりゃそうだ。この話の主人公はみんな若い時に結婚したり、子供を産んでいたりするので、そんなに年は感じない。

エピソードは糸崎先生の浮気疑惑とか、高広の浮気問題(こっちは疑惑じゃない)、柚子に好意を寄せる歯医者の先生、そのご歯医者がなぜか棗とくっついてしまったり、出版社の朝倉さん(三姉妹と家族以外で出てくる前作の登場人物はこの人だけ)が、また現れて花梨を口説きにかかる、というようなもの。

主人公たちは年はとっていても、基本的にキャラクターはぜんぜん変わっていないので、さくさく読めた。なつかしすぎるなー。ついでに作者の塩森恵子は編集者と結婚して、子供も二人くらいいるらしい。以前日経新聞でコミックエッセイを連載していた時に見て、なつかしく思っていたが、今も『YOU』に新しい連載をもっているようだ。ちょっと探して読んでみる。