小林清親展

小林清親」、太田記念美術館

夕方、ちょっとだけ時間があいたのでなにかあるかと調べてみたら、原宿の太田記念美術館で、こんな貴重な展覧会が。小林清親は好きなのにこれまでまとめてみたことがなかったので、いそいそと行ってきた。

ここの美術館は小さいところなので、少し見てみたいものがあるときにありがたい。入り口で靴を脱いで上履きにはきかえるのも、ちょっと足が解放されたようでいい感じ。畳敷きのスペースがあるので、上履きを脱いで上がって、展示物をゆっくり見ることもできる。

所蔵品の中の小林清親作品が一堂に並んでいるのだが、自分が知っている「光線画」の清親は、初期のころのもので、その後のポンチ画、肉筆画については実物をみたことがなかったので、そこがよかった。小林清親は大正末年まで生きていた人だから、需要に応じて、いろんな絵を描いていたことはあたりまえなのだが。

猫が魚の絵にじゃれついている絵など、テクニック自慢の清親の底力を感じさせる。日清戦争の野営風景を描いたものは、初期の光線画の技が生きていてこれもよかった。

でも一番気に入ったのは、大火事のようすを描いたもの。この前みた「地獄変」をちょっと思い起こさせる(もちろん清親の娘は燃えてない)。火事だ、逃げろとみんなが騒いでいる間、清親はひたすらスケッチに没頭していたわけだ。因業な商売ではある。

入り口で小さい図録(この展覧会のものではなく、河鍋暁斎らの戯作画、ポンチ絵系の絵を集めたもの)を売っていたけど、清親の絵が少なかったので結局買わなかった。安かったから買っておけばよかった。あー、もったいないことをした。