こどもエイティーズ

柘植文『こどもエイティーズ』、ぶんか社、2010

著者のこども時代のエッセイ風コミック、となっているが、あとがきで「エッセイ風」だけど、基本的には創作ですよとことわりがきがされている。

著者とはちょっと年代が違うけど、かいてあるネタはわかるなー。題名通り、80年代に子ども時代をすごしてたということなのだが。ガンダム、習字、宝石箱アイス、なめ猫、チョロQ、ルービックキューブ、スライム、ゆかいなとこやさん、欽どこ等々。ユリ・ゲラーやスプーン曲げがはやっていたのはこの頃だったかな?自分ではもうちょっと前の時代のような気がしていたが。

でもこのマンガがいいのは、そういう懐かしネタだけで話をひっぱっているのではなくて、主人公の「あや」がけっこうずるくて、欲望満開なところである。なんか「昔のこども時代」は、純朴そうな話にされてしまうことがけっこうあるが、だいたいこどもなんか物欲の塊だし、自分の欲望をみたすためにはつまらない嘘とか平気でついたりするもの。

自分が「ああ、これは自分もあったなー」と思えるのはそういう子どもっぽいせこさの部分。まあ、根本的なところは子どものときから変化してないような気がする。

表紙には、目がぱっちりしていて、瞳の中にいっぱい星が入っている、典型的な昭和の少女漫画の女の子が大きく描かれ、そのとなりに主人公の絵が小さくかかれて「主人公はわたしです」とある。色遣いも、昔の少女漫画っぽく描かれていて、この表紙のテイストも好き。