ノンストップおヨメ道

柘植文『ノンストップおヨメ道』、竹書房、2006

内容は、「体験してみました」系マンガなのだが、いちおう「ヨメ修行」のための体験モノということになっている。しかしその内容はというと、ウェディングブーケ作りとか、着付け、生け花、茶道くらいはいいとして、乗馬、建築模型、カポエィラ(ブラジルの太極拳みたいなもの?)、五月人形作り、ゴルフ・・・となってくると、もはやヨメ修行はあまり関係ないような。

まあ、おもしろいからいいのである。ほぼ全編にわたって出てくる「独身、敏腕編集者フナバさん」がめちゃめちゃいい味を出しまくっている。著者のやる気のなさに対してこちらはやる気出しまくり。とはいえ、どちらもあまりヨメに行きそうな感じはしない。

何か体験をすると、その度に「おヨメートル」が上がって、ヨメに近づくということになっているが、どこまで行くとヨメになれるのか、さっぱりわからないところもナイス。マンガの各編のあいだに「おヨメちっく通信」というイラストが入っていて、「私がいつも洗い物をためているのは温暖化防止のためです」とか、「嫁入り道具としてDVDレコーダーが欲しいです」とか、「姑福笑い」とかが入っていて、これもいちいち笑える。

あとがきに、ビクトリア女王が、夫の部屋に入ろうとして「イギリス女王です」と言ったら扉を開けてもらえなかったというエピソードが紹介されていて、自分の社会的役割に対するプライドの高さに感動したという著者の感想が書かれている。どうでもいいヨメになどならなくてもいいので、おもしろいマンガを描き続けてください。