沖縄本礼賛

平山鉄太郎『沖縄本礼賛』、ボーダー新書、2010

沖縄本のコレクションに関するエッセイ。この本を出している「ボーダーインク」という出版社も沖縄の出版社で、沖縄に行ったときに那覇ジュンク堂の沖縄本コーナーでたまたま買い込んだもの。

沖縄本というのは沖縄以外にはほとんど置いているところがないばかりか、ネット書店でもひっかからないことが多いという特殊な分野。この本では東京の「球陽書房」という古本屋が沖縄本が充実しているとあるが、うちから行くコストはたいして変わらない。とにかく沖縄に行くしかないのである。前に那覇空港で「ひるぎ社」という沖縄の出版社が出している「おきなわ文庫」という緑色の装丁のシリーズを見つけて、「どうせ家に帰ってからネットで注文すればいいや」と思っていたら、アマゾンでも出てこないので驚いた。もっとも、今は沖縄の書店もネット経由で本を配送してくれるそうなので、昔に比べれば入手は楽になっているのだが・・・。

著者は東京在住のフリーの校閲者で、沖縄本の蒐集歴は10年というからそんなに長いわけではない。しかしもう4000冊も溜まっているそうなので、片っ端からばしばし買いあさっているらしい。著者によれば、沖縄本は相当な知識がなければ読めない本が多く、積ん読本が増える一方なのだという。まあ、書籍マニアにはよくあることだが・・・。

沖縄の古本屋(ブックオフを除けば非常に数が少ないので、車があれば比較的容易に回れる)のことから、個別の沖縄本のことまで、コレクター道の業の深さをしみじみ感じさせるエピソードだらけ。自分が必要としている沖縄本の分野とはあまり重なっていないのだが、それでも十分におもしろい。沖縄県内ではたぶん一番大きい書店のジュンク堂でも、沖縄本のコーナーは品揃えが比較的薄く、どうしても古書店やら何やらをまめに探さないと手に入らない本が多いのである。

とりあえず見つけたら買う。迷ったら買うということでないと本は集まらないということだ。希少な分野だとなんでもそうですが。