オランダのアート&デザイン新言語

「オランダのアート&デザイン新言語」、東京都現代美術館

こちらは東京都現代美術館でやっているもうひとつのほうの展覧会。「トランスフォーメーション」に比べるとずいぶん規模は小さく、ワンフロアの一部をつかっているだけ。しかし、内容はこちらの方がおもしろかったと思う。

美術館の説明文では、「コンセプチュアルと言われるその作品は、人の存在を肯定・尊重しながらも、「環境と消費」、「都市と社会システム」、「歴史と文化の継承」など、今日的な問題意識を下敷きにして、私たちに未来の選択を問いかけます。」とあるのだが、むずかしそうな話はおいといて、観客参加の展示が多くてたのしい。

入り口で小さい、穴の開いたブロックを渡されたのでなんだろうと思っていたら、客がそのブロックを適当に積み上げて、「小さな東京」という作品を作ってくださいというもの。ブロックは土でできていて、パテをこてで塗ってつないでいく。一番高く積み上がっているブロックの上に、マジックで「夜露死苦」と書いて積んでおいたが、別の人がまたブロックを乗せようとして、いきなり崩れていた。よく見ると、展示品はみんなが積み上げようとして崩れた残骸だらけで、まるでバベルの塔みたいな感じである。これはなかなか楽しめてよかった。

後は、ピストルの形をした釘に作家の作品の断片がかかっていて、「あなたの指輪とかえっこしませんか」というのがあった。代えてみようかなとおもったら、全部交換済みで、釘にかかっているのは客がひっかけていったものだけ。ところが、指輪をかけている人はほとんどなく、大半が5円硬貨と50円硬貨。みんなせこすぎ!まあ、こういうのも含めて展示なのでおもしろい。

やっぱり現代美術の展示はアイディア勝負。「トランスフォーメーション」の方がなんだか小難しい感じだったのに、こちらは客を巻き込むことで、そういうところをうまく中和していると思う。

展覧会を見終えて出てくると、6時近くであたりは真っ暗。しかし、美術館から清澄白河の駅までの通りは、深川のいかにも下町然とした通りで、和菓子屋とか、飲み屋、駄菓子屋、古本屋など、いろいろなお店があり、歩いているだけで楽しい。古本屋はちょっと変わった品揃え(美術本のほか、犬や猫の本、沖縄本など)で、荷物になるのがわかっていながら、ついつい何冊か買ってしまった。ついでにねこデザインの手ぬぐいもあったのでゲット。清澄白河の次は門前仲町だし、下町は歩いて楽しいからいいな。