「アメとムチ」の構図 普天間移設の内幕
渡辺豪『「アメ」と「ムチ」の構図 普天間移設の内幕』、沖縄タイムズ社、2008
普天間移設問題を関係者への追跡取材で追いかけたルポルタージュ。元那覇防衛施設局長の佐藤勉のメモランダムを元にしているが、それだけでなく多くの関係者に取材して丁寧にこの問題を追いかけている。取り上げている時期は、2006年から2008年まで。元防衛事務次官の守屋武昌が主導して普天間移設計画を推進していた時期にあたる。
基地反対運動のほうに目が行っているばかりの本が多いが、この本は中央政界、防衛庁、沖縄県庁、名護市をはじめとする地元政界の動きを追った本で、内容には迫真性があり、一気に読めた。もっとも、普天間移設問題のそれまでの経緯と移設計画の各案がわかっていないと、何が争点になっているのかは簡単に頭に入ってこないだろうと思う。しかし普天間移設問題を考える際にはかならず目を通しておくべき本のひとつには違いない。
もっとも、守屋元次官や中央政界を露骨に悪役扱いし、「沖縄対中央」の安直な図式に乗っかっているところは、所詮沖縄タイムズにできる範囲を出ていないことも事実。守屋武昌の回顧録とあわせて読む必要がある。
普天間移設問題を関係者への追跡取材で追いかけたルポルタージュ。元那覇防衛施設局長の佐藤勉のメモランダムを元にしているが、それだけでなく多くの関係者に取材して丁寧にこの問題を追いかけている。取り上げている時期は、2006年から2008年まで。元防衛事務次官の守屋武昌が主導して普天間移設計画を推進していた時期にあたる。
基地反対運動のほうに目が行っているばかりの本が多いが、この本は中央政界、防衛庁、沖縄県庁、名護市をはじめとする地元政界の動きを追った本で、内容には迫真性があり、一気に読めた。もっとも、普天間移設問題のそれまでの経緯と移設計画の各案がわかっていないと、何が争点になっているのかは簡単に頭に入ってこないだろうと思う。しかし普天間移設問題を考える際にはかならず目を通しておくべき本のひとつには違いない。
もっとも、守屋元次官や中央政界を露骨に悪役扱いし、「沖縄対中央」の安直な図式に乗っかっているところは、所詮沖縄タイムズにできる範囲を出ていないことも事実。守屋武昌の回顧録とあわせて読む必要がある。