占領下日本

半藤一利、竹内修司、保阪正康松本健一『占領下日本』、筑摩書房、2009

タイトルは、占領下の輸出品につけられていたオキュパイド・ジャパンをそのまま日本語になおしたもの。形式は著者四人の座談会。テーマは、「八月十五日」の体験から、憲法第9条、当用漢字と新かなづかいの採用、検閲、パンパンとストリップ、分割占領の可能性等々、占領下日本の状況を広い視野から眺めるように設定されている。

この、四人の座談会形式は読んでみるとなかなかよくできている。もちろん四人の人選がよいということが前提だが、この時代については該博な知識を持つ人々ばかりなので、ひとつひとつの発言がおもしろい。またテーマの選択は半藤一利が行ったそうだが、これもよく考えられている。

天皇の役割、天皇と占領軍との関係など、天皇には相当重点がおかれていて、学ぶところも多かった。占領下であっても、天皇にとっては日本の歴史的連続性はまったく変わらないものとしてとらえられていて、「人間宣言」もその認識の延長線上にあったという話には納得。「沖縄を基地として米軍に提供する」趣旨の発言も、軍の司令官だった天皇の戦略眼によるという話も説得的。

細かいネタの部分にも、著者らの知識が細かくちりばめられていて、一気に通読してしまった。