ナポリ・宮廷と美-カポディモンテ美術館展 国立西洋美術館

ナポリ・宮廷と美-カポディモンテ美術館展」、国立西洋美術館

東博の中国と同時にやっていたのが、西洋美術館のナポリからきた展覧会。ファルネーゼ家という貴族が教皇を出してから権力に任せてありったけの富をかき集め、その家の娘がブルボン家に嫁いで生まれた子どもがナポリ王になって、さらに富を集めまくった結果できたのが、このカポディモンテ美術館でしたというおはなし。

前半はファルネーゼ家の最盛期に集められたルネサンスからバロックの絵と工芸品。いろんな作品があるが、ポスターにもなっているパルミジャニーノ「アンテア」という婦人の肖像画がこの美術館の看板娘らしい。確かに気品ありげな肖像画だが、モデルは誰だかよくわからないそうだ。凛とした顔立ちと目が印象的な絵。

ほかもティツィアーノとか、エル・グレコとか、名のある絵描きの絵はひととおりあるが、むしろおもしろいのは、後半に飾ってあるナポリバロック絵画。ジェンティレスキ「ユディトとホロフェルネス」は、おねえさん二人が眠りこけている男の首を切り落としているところの絵。画家は女で自分がレイプされたことの恨みを絵で晴らそうとして、普通は介添えをしているだけの侍女が刀で将軍の首を斬り裂いている絵柄になっているのだとか。まあ、芸術家に悪事を働くと、後でどういう方法で恨みを晴らされるかわからない。

ほかにも名前はぜんぜん知らないが、よく描けている絵が多数。また、美術館はファルネーゼ家の宮殿を兼ねていたので、その様子を撮影したビデオが美しい。ナポリに出かけることがあるとしたら、海を背景に豪壮な宮殿にかけられた絵を眺めるのはとても気持よさそうな感じ。