社会派くんがゆく! 激動編

唐沢俊一村崎百郎『社会派くんがゆく! 激動編』、アスペクト、2003

『社会派くんがゆく!』の2冊目。2002年1月から12月までの連載をまとめたもの。1冊目が非常におもしろかったので、これはどうかなとおもったらあんまりおもしろくない。簡単にいえば、ネタが不作だったのである。この年は北朝鮮ネタが主で、事件ネタが薄い。それでも山崎拓セックススキャンダルとか、パナウェーブ事件とか、毒カレー事件判決とか、ないことはないが、インパクトとしてはいまひとつ。

あと、北朝鮮ネタは自分自身がもう知っていることなので、わざわざこの本にお世話にならなくてもいいということもあるか。山崎拓のスキャンダルも、当時週刊誌を直に読んでいたのでけっこう内容は覚えていて、あまりこの本にお世話になる必要を感じない。著者2人も、前年に凶悪事件が頻発していたので、この年の事件は薄かったと自分で言っているし。

といっても、2人の鬼畜言動は前作とまったく変わらず、これはいい感じでテンションが持続している。とはいえ、前作は抗議がバンバンくるかと思っていたらひとつも来なかったそうで、村崎はあとがきでそのことをなげいていた。まあ、村崎の人生の結末を見ると、抗議みたいな甘っちょろい反応ではすまないことが返ってきたわけで、筆禍というのはほんとうにおそろしいわ。