ラブメール

先生と生徒『ラブメール 先生と私の秘密』、講談社、2009

図書館の新着図書コーナーにあったので、手に取ってみたら、まず開けてびっくり。1ページに携帯の画面のような絵が4つずつくらい入っていて、その中に文字が入っている。メールヘッダの部分も入っているので、この「メール画面」1つあたり、12文字で3行とか4行の「メールメッセージ」で、これが4つあるから、1ページあたり、200字くらいしかないことになる。この本、280ページくらいあるのだが、1000円しかしない。この分量からすれば当然か。マンガよりも早いペースで読め、1冊に30分しかかからない。

文字の量が少ないだけでなく、内容も皆無。いきなり高校生の女の子が同級生の彼氏に殴られているという設定からはじまり、教師に相談しているうちにデキてしまうとか、その教師に岡惚れしている別の生徒(こっちは男でゲイ)が、嫉妬して妨害工作してくるとか、教師には年相応の彼女がいたが、教師は女子高生のほうにいってしまった結果、自殺未遂とか、なんだか突っ込みどころ満載の展開がつづく。

とりあえずケータイ小説というのがあるみたいなので、まねしてみました、てへ、という感じの書き方で、講談社はよくこんなものを印刷してるなーと感心。

「プロデューサー」という肩書きで名前が出ている、おそらくは著者の「泉忠司」という人だが、紹介文も非常に香ばしい。「ジャンルにとらわれない斬新な企画を次々とプロデュースすることから、「メディアミックス時代の寵児」と呼ばれる」とか、読んでてイタタタタの内容がいろいろ書いてある。著書は30冊以上ということだが、こんな調子で30冊も出しているとすれば、ある意味すごい。

図書館はいろんな本を買っているのですね、という当然の事実を再認識させられた。以前、高校生や中学生くらいだと、マンガを読むことすらむずかしいという層がいて、そういう層はケータイ小説を読んでいる、と誰かがいっているのを見たことがあるが、この内容なら、そういうことがあっても納得。世の中いろんなところにいろんな需要があるのだ。