徳川セックス禁止令 色情大名

「徳川セックス禁止令 色情大名」、杉本美樹、サンドラ・ジュリアン、名和宏ほか出演、鈴木則文監督、東映、1972

この映画は見たことこそなかったものの、タイトルが強烈なのでそれだけは覚えていた。確か子供の頃か、あるいは高校生の頃に、京都の映画館「京一会館」にまわってきていたのを、劇場のポスターで見たはず。それにしてもこのタイトル、映画の内容とあってないし。「セックス禁止令」は徳川家が出してないし(あたりまえ)。とはいえ、この題を考えただけでもエライと思う。それくらいしか取るところのない映画なのだが・・・。

将軍家斉(田中小実昌!)の時代、家斉の姫(杉本美樹)を押しつけられたのが、唐島藩の殿様(名和宏)。しかし殿様はセックスにまったく興味がなく、姫との初夜を無事に終えられない。こまった家来(殿山泰司大泉滉ほか)たちは、博多屋(渡辺文雄)に策を頼むが、博多屋が連れてきたのがフランス渡りのサンドラ・ジュリアン。

殿様は、サンドラ・ジュリアンとのセックスに夢中になり、下々の者がセックスにふけっているのはけしからんと「閨房禁止令」を出し、家臣と言わず領民と言わずすべてのセックスを禁止。違反者は去勢である。しかしそのうち殿様の家臣のひとり(成瀬正孝)は殿様をいさめようと、サンドラと浮気(なぜ?)。家臣はその場で自決。殿様はサンドラは助けたいのだが、家来が「禁令違反で」と勝手にはりつけにしてしまう。

反省した殿様は閨房禁止令を撤回。で、姫様ととうとうセックスにおよび、その場で腹上死。おしまい。最後の画面に「あらゆる生命の根源たる性を支配し管理検閲する事は、何人にも許されない 例え 神の名においても」と堂々と文字が出てくる。官憲の検閲を批判しているつもり?もう失笑するしかない。

このサンドラ・ジュリアンという女優さん、フランスから日本に来たポルノ女優で、これが2作目。いかにも外人っぽいが上手な日本語を話す。ふきかえか?と思ったが、あえぎ声まで吹き替えるわけにもいかないだろうから、本物だろう。しかし、そもそも、あまり美しくないし、肉体美がどうのこうのというレベルの人でもない。単にフランス語を話すブルネットの白人のおねえさんである。見ていてもあんまりありがたくない。

杉本美樹はまったくお姫様っぽくないし(当然ですが)、これなら、「くノ一忍法帖」のほうがよっぽどましだろう。見るんじゃなかった・・・。