郷土LOVE

みうらじゅん『郷土LOVE』、スコラマガジン、2009

みうらじゅんが、47都道府県(北海道は2つと数えるので48)のくじを引き、あたった都道府県についてそれぞれの思い出を語るという本。

勝手に観光協会」の書籍化?と思ったが、そういうわけではなくてこれまでいろんな機会に行ったエピソードを語り下ろしたもの。おもしろいのだが、このおもしろさの半分は、対談相手(初出の「ほぼ日刊イトイ新聞」の担当者)のおかげだという気がする。みうらじゅんの繰り出すいろんなトークを淡々と受けていて、おかげで非常によい味が出ている感じ。

個人的には、京都府の回で、旅館の人がみうらじゅんが京都に暮らしていた時には一度も聞いたことがないような言葉をしゃべりまくり、それに対してみうらじゅんが「あれは『劇団京都』を演じているんです」と言っている回がツボ。京都の値段の高い旅館とか、そういう商売の人によく見られることで、「それはどこの話?」と言いたくなるようなことをばんばん言っているのである。地元の人はそんなところには行かないから知らないだけだが、たまによそからの客を案内して行くようなことがあるとびっくりする。

あとは、にゃんまげとか、ゴムヘビとか、鍾乳洞とか、変な記念館とか、ふつうの旅では行きそうもないところ、買いそうもないおみやげの話がいっぱい。各県、それなりに楽しめるところがエライと思う。

350ページくらいある本だが、あっという間に読めるところもエライ。

考えてみると、47都道府県のうち、通りすぎたことすらないというところが3分の1以上はある。日本は広いし、行くところはまだまだいっぱいあると考えているとたのしくなる。