ムーミン展

ムーミン展」、広島県立美術館

タンペレ市立美術館・ムーミン谷博物館所蔵、とあるとおり、フィンランドにあるムーミンの原画展。小説版ムーミンの原画、習作、スケッチ、それに人形によるジオラマ模型(これも美術館所蔵のオリジナル品)で構成される。

作者のトーベ・ヤンソンは基本的に絵描きなので油絵もあるのだが、原画はむしろマンガに近い描き方で、日本人にはなじみやすい絵。構図や細部を非常に丁寧に工夫して描いていることがよくわかる。小説版全9巻について、簡単なストーリーの説明とともに絵が並べてあるので、知らない人でもある程度はどういう話かがわかるようになっている。

しかし、基本的にこの展覧会を楽しむには、小説か、「楽しいムーミン一家」またはポーランド製のパペットアニメのどれかを見ていることが必要。わたしのように1969/72年版アニメしか見ていないと(「楽しいムーミン一家」も少しだけ見ているのだが、ほとんど内容を忘れてる)、キャラクターの違いや世界観の違いに混乱させられる。展示物だけでなく、物販コーナーでも69/72年版アニメに関係しているものは一切取り上げられていないので、昔の記憶をたどることは無理。最初から違う作品だと割り切って見なければいけないが、そのためには原作かそれに近いアニメの話がわかっていないと・・・。

客の多くは成人。子供は小学生くらいのわりと大きな子供が2人ほどいただけ。会場自体はけっこうにぎわっていた。特に物販コーナーは、キャラクターのついたいろんな商品が山のようにあり、大きなマグカップをもう少しで買いそうになったのだが、いつも使うモノにキャラクターの絵が入っていると、あとで後悔しそうだと思ってやめとくことにした。また機会を見つけて図書館で原作本を手に入れて読んだ方がいいし。

人形でつくってあるジオラマは、実をいうとあまりデキはよくない。むしろ、日本の愛好家が寄贈したという粘土細工の額縁に入るサイズのミニ・ジオラマの方がはるかによくできている。このキャラクターが流行ったのも、イギリスの新聞漫画になっていたことに加えて「楽しいムーミン一家」の影響もあるらしいから、日本人もこの作品にはかなりの貢献をしているらしい。