彷徨える艦隊2 特務戦隊フュリアス

ジャック・キャンベル(月岡小穂訳)『彷徨える艦隊2 特務戦隊フュリアス』、早川書房、2009

やっと2巻が手に入った。うれしい。

敵星系を制圧して、アライアンス艦隊の捕虜を解放したギアリー大佐。しかし、捕虜の中にはとんでもない人物が混じっていた。ファルコ大佐は、艦隊の指揮権を要求し、それが容れられないとなると、ギアリーに反抗的な一部の艦長を扇動して、勝手に艦隊を離脱してしまう。

ギアリーは、あえて味方宙域から離れて敵宙域の最深部へ。そこには豊富な物資とハイパーネット・ゲートがあり、うまくいけばそれを使って一気にアライアンスの母星に戻れるかもしれないのだ。

目標のサンセレ星系に到着するギアリー麾下のアライアンス艦隊。敵は簡単に制圧されたがどうも動きがおかしい。実は、ハイパーネット・ゲートは破壊すればそれ自体が巨大な兵器になり、星系全部を吹き飛ばしてしまう威力が。相変わらず勝つためならなんでもするシンディック艦隊は、星系もろとも、アライアンス艦隊を全滅させようと罠を張っていた。

なんとか罠を事前に察知して、ハイパーネット・ゲートの破壊の影響を最小限に食い止めるギアリー。しかし、これで一気に母星に戻る計画はおじゃんになった。そして、ハイパーネット・ゲートの配置その他の事実から、どうもこの装置がアライアンスとシンディックの両方を自滅させるために異星人が渡した罠だという可能性が・・・。この辺の謎解きは次巻以降のおたのしみ。

反乱を起こして離脱したファルコ大佐の艦隊は、ボロボロになって戻ってきた。それを追いかけてきたシンディック艦隊は、待ち伏せ攻撃で全滅。ファルコは精神崩壊状態に・・・。このファルコ大佐、軍人としては無能なくせに、扇動家の才はたっぷりという最悪な人物。しかしこの事件のおかげで、ギアリーに反抗的な艦長はほぼ一掃されたので、ストーリー的には展開がわかりやすくなった。

ギアリー大佐と、リオーネ副大統領が「できちゃった」り、いろいろとエピソードのタネがまいてある、この巻。やっぱりいいのは戦闘場面。特に戻ってきたファルコ艦隊を追撃してきたシンディック艦隊を叩きつぶすところは気持ちいい。とにかく敵艦隊を一隻残らず全滅させるまで、しつこく攻撃しまくるのだ。特務戦隊指揮官のクレシダ中佐もかっこいい。次の巻が来るのがたのしみ。