渡辺あや講演会 脚本と映像

講演会「脚本と映像」、渡辺あや、三浦ひろみ(聞き手)、広島市映像文化ライブラリー、2010.3.13

脚本家、渡辺あやの講演会。これはポスターで見つけて、申し込みの定員制だがタダの講演会だったのでこれさいわいと1ヶ月ほど前に申し込んでおいたもの。対談形式で、聞き手は映画のコメンテーターをラジオとかでやっている三浦ひろみ。

渡辺あやは、昨日の9時にやっと全国放送されたNHKの「火の魚」(テレビ初作品)のほか、「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「天然コケッコー」「ノーボーイズ・ノークライ」(以上映画)と今年NHKで放送された「その街のこども」が全作品であまりたくさん書いている人ではない。しかし、書いているものにハズレがまったくない。わたしは、「ノーボーイズ・ノークライ」は見ていないが、後は傑作、佳作揃い。どんな人が書いているのか、とても興味があって見にいってきた。

1970年生まれで、今年40才になるようだが、見た目は童顔なので30才そこそこに見える。聞いておどろいたのは、この人はシナリオ学校などで脚本執筆の訓練を受けたことがまったくなく、岩井俊二のウェブサイトのシナリオ公募にいきなり作品を送って、それがきっかけで脚本家になったとのこと。それまでは大学卒業後まもなく結婚して、ダンナの仕事の都合でドイツにしばらく住み、その後は島根で主婦業をしていたということなので、脚本とはほとんど縁のなさそうな生活。書きたいという強烈な衝動が中にあった人なのだろう。

50分ほど話をして、あとは客の質問を受けていた。今やりたいことは脚本執筆もそうだが、演出だという。共同脚本は一度やって懲りたのでもういい、といっていた。執筆活動は、子供が学校に行っている間に家でやっているとのこと。執筆は昼に集中し、夜書くというようなことはないらしい。2時間の脚本は一週間で書くと言っていた。プールに飛び込んで泳ぐようなもので、飛び込んでしまえば泳ぐしかなく、いつ飛び込むかのタイミングを計ることがだいじだとのこと。下調べは大事ではあるが、調べすぎれば引きずられるので、それには気をつけているともいっていた。島根在住ということも脚本執筆にはいいらしい。東京にいると刺激に振り回されてしまうのだそうだ。

おとなしそうな顔だが、意思のはっきりした人。まあそうでない脚本家なんかいないだろうが。現在、日仏合作作品の脚本にかかっていると言っていたので、次回作もたのしみ。