フリーター、家を買う

有川浩『フリーター、家を買う』、幻冬舎、2009

会社を辞めて、フリーターとしてグダグダな生活を送っていた主人公が、母親の神経症を機会にして立ち直り、仕事もきちんとこなすようになって、正社員に引っ張ってもらい、こつこつ貯めた貯金を元手に家まで買いました、ついでに会社の後輩とラブラブになりそうです、という話。

主人公が立ち直ってから、まじめに仕事をして、会社に正社員にとられていくあたりのくだりは、読んでいて説得力のある文章。誰でもきっかけさえあれば、社会に受け入れられるんだよという著者のメッセージにも聞こえる。こんな不景気のご時世でも、読み手に期待を抱かせてくれる本。

しかし、最後の後輩社員とのロマンスのあたりは、どうもおいしくない。著者の得意のパターンなので、有川ファンには抵抗なく読めるのだろうと思うが、自分にはダメ。ここがなければ、さわやかな読後感で終わったのに・・・。ちょっと残念。