半島へ、ふたたび

蓮池薫『半島へ、ふたたび』、新潮社、2009

拉致被害者蓮池薫氏が、韓国旅行や翻訳家に転身してからの生活をつづったエッセイ。

こちらとしては、北朝鮮での生活の細部を知りたくて読んだのだが、それについては断片的に挿入されているだけで、ほとんどは韓国や韓国人の生活、考え方についての文章である。ということで、その点についてはあてがはずれた。

まあ、著者はすでに韓国語の小説や詩の翻訳者として第二の人生を始めているのであり、北朝鮮での生活は過去の問題なのだから、無理もないことだと思う。拉致されてから24年間、北朝鮮で生活を送って日本での生活に戻るにあたっては、いろいろと心理的な葛藤や苦労があったことはよくわかる。普通の人に戻って、ちゃんと生活が立てられるようになったのだから、素直に喜ぶべきだろう。

とはいえ、別の本でもいいので、北朝鮮での生活の詳細についてもっとまとまった形での記録を残して欲しいと思うのだが・・・。