広隆寺

広隆寺

京都では外国からの客を案内する約束になっていたので、行動プランを考えなければいけないことに…。事前に何か行きたいところはあるかと尋ねていたのだが、「地元の人ならではというところ」と言われた。でも地元の人しか知らないところというのは、たいていよその人にとってはおもしろみが薄いところと決まっている。だいたい、そこで生活している人がおもしろいと感じるポイントと、観光客がおもしろいと感じるポイントは違うものだし。

ということで、要望は無視して、京都のメジャーな観光地、それもいかにも外国人受けしそうなところを集中的に回ることにした。そのひとつがここ、広隆寺。地下鉄、バスの一日乗車券を買って、太秦天神川で地下鉄を降り、嵐電太秦広隆寺は目の前である。

建物は適当に見て、霊宝殿に。客はちらほらいるという程度。年末でもそれなりに客は多い京都だが、このくらいですかね。しかし仏像に関心がある人にとっては、ここは東寺、三十三間堂とともに、京都市内では絶対落とせないスポットのはず。仏像に関心がある人はそんなに多いわけじゃないということか。それともそういう人は奈良に行ってるかなあ。いずれにせよ、こっちにとってはゆっくり仏像を見られるのはいいことだ。入るときにお寺の人が、正月のしめ飾りをあげていた。外国人はこういうことに興味をひかれるので、こちらもちゃんと説明しておく。

ここの仏像は、誰でも知っている弥勒菩薩像をはじめ、とにかくいいものしかない。前に来てから数年たっているが、それでもこの小さな建物でごはん3杯はいけると思う。普通の美術館なら一つで目玉になるような仏像が数十体あるのだから、当然といえば当然だが。しかし、悲しいことに仏像の様式について詳しく説明する知識と語彙が足りないので、客にはあまりていねいに説明できなかったのがざんねん。自分は十分楽しめたけど。

まあわたしの言葉が足りなくても、彫刻の美は勝手に客に語りかけてくれたはず。美術史的な知識が足りなくても、訴えかけてくるものはあると思うし。ということで、自分的にはすませてしまったが、客本人はどう思ったかなあ。