冨田渓仙展

「冨田渓仙展」、福岡市美術館

これもこの前の連休最終日までやっていた展覧会。これを見たかったので、福岡アジア美術館のほうは途中であきらめなければならなかった。

冨田渓仙についてはほとんど知らなかったが、生没年は1879-1936(明治12年昭和11年)。横山大観に認められて再興日本美術院の同人だった人。56歳で亡くなっているから若死にである。

絵はいかにも日本画という感じの花鳥画(「万葉春秋」)が入り口にどーんと置かれていて、そういう伝統的な絵を描く人かと思ったが、それは晩年の作で、若い頃は洋画や南画などいろんな絵をためして、自分の絵を模索していたようだ。「風神雷神図」は、宗達のものとは風神と雷神が逆になっているが、カラフルで動きもあるおもしろい絵。ちょっとマンガっぽいところもある。

ポール・クローデルと親交があり、渓仙の絵にクローデルが賛を入れたものがいくつもある。仏画、風景画、人物画、花鳥画となんでも描いている。「南泉斬猫」「狗子仏性」は、公案をそのまま描いていて(まだ猫は斬っていなかったが)、これもおもしろかった。

もと博多の人で、今年が生誕130年だという。行かなければ、知らないままだったろうから、行ってみてよかった。アジア美術館を早く切り上げて行くだけの価値はあった。