B級裁判傍聴記

阿曽山大噴火辛酸なめ子『B級裁判傍聴記』、創出版、2008

共著になっているが、ほとんどの部分は阿曽山大噴火単独の傍聴記で、辛酸なめ子は終わりの部分でちょっとマンガを描いて、二人で対談しているだけ。阿曽山大噴火の担当分は『創』の雑誌連載を本にしたもの。

阿曽山大噴火は裁判傍聴を始めてからもう10年ということなので、ベテランウォッチャー。この傍聴記でも事件そのものに加えて、裁判官や検察官、弁護人らのおもしろさにまんべんなく目が行っている。このあたりがベテランの目というものか。表題通り、深刻な事件はなくて、笑える事件を取り上げているのでケタケタ笑いながらさらっと読める。まあそういう本。

裁判傍聴記も最近たくさん出ているので特色を出すのはけっこう大変だろう。この著者だけでも、もう4冊目なのだ。しかし辛酸なめ子は、この本ではあまり役に立っていない。本当の裁判素人なので、突っ込む機会が見つからないのか?もうちょっと組み合わせは工夫した方がいいと思う。