国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア

「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」、広島県立美術館


先週の日曜日までやっていたこの展覧会、もっと早い時期に行くつもりでチケットを買っていたのだが、結局行けたのは終盤になってから。よい展覧会だったので、早い時期に行っていれば2度3度行けたのに、もったいないことをした。ギャラリートークや講演会も何度もあったのに、全部行き損ねた。ざんねん。

トレチャコフ美術館は、ロシア絵画の専門美術館で、展示品はほとんどが19世紀の作品。20世紀はじめのものが少し。「移動展派」の作品が中心的に取り上げられている。印象派との関係にも焦点があてられていて、そういう作品が多い。

むかし、ロシア語の授業で近代ロシア絵画の章があり、レーピン、セローフ、クラムスコイ等々の名前が出てきていたのだが、作品の図版はまったく出てこなかったので、どういうものかはさっぱりわかっていなかった。今回ようやく実物を見られて感慨深かった。

ポスターやパンフレットに出てくる女性の肖像画は、クラムスコイの「忘れえぬ女」。これがこの美術館の一番の人気作品なのだそうだ。たしかにいい絵だと思うが、自分はむしろ風景画の方にひかれた。印象派の影響が、といわれると、確かにそれもあるような気がするが、より写実的で細かいところを精密に描いている。季節を強く感じさせるような絵が多い。ロシア絵画には、自然を神の恩寵として捉える考え方があったということをどこかで読んだが、自然に対する敬虔さを感じた。