この世でいちばん大事な「カネ」の話

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』、理論社、2008

図書館に予約を入れておいたのだが、予約数が100以上あって本が来るまで相当時間がかかった。しかし読んでみて納得。題名通りの内容だが、著者がこれまでの人生でカネとどう向き合って来たかがつづられている。ほぼ自伝である。

「洗うような赤貧」を見ながら育ってきた著者の人生だが、実際、昭和30年代から40年代くらいの時期には著者のいうような貧乏は当たり前にあった。おそらく1980年代以降に生まれた人にはほとんど想像できないだろう。著者自身、書いたものを信じてもらえなかったと書いている。つい40年ほど前は日本はほぼ発展途上国であり、貧乏人がそこらじゅうにいた。うちはそこまで貧乏ではなかったし、西原理恵子の故郷よりは貧乏人の数も少なかったと思うが、家が本当に貧乏な子供はたくさん見た。

西原理恵子の気合いの入り方はこういうところから来ているのかというところには非常に納得させられた。カネが稼げなければ貧乏に逆戻り、という切迫感がなければあの気迫は出てこないのだろう。

この世でいちばん大事なものはカネ。カネが稼げない者には自由も安全も将来もない。この当然のことをあらためて認識させられた本。