労働再規制

五十嵐仁『労働再規制 反転の構図を読み解く』、ちくま新書、2008

労働分野における規制緩和の動きが反転した経緯を追った本。財界、自民党厚労省経済財政諮問会議、規制改革会議などの動きをざっとまとめているので、議論が変化したきっかけや、さまざまなアクターの動きを知るためには役に立つ。

しかし、本としては、「なぜ労働分野の規制改革が逆転したのか」についての説明がどうもはっきりしていない。著者の政策的意見(労働者保護に賛成、労働規制の強化を支持)と、事実関係の分析がきちんと区別されておらず、読んでいて著者の分析が信頼できるのかどうかがあやふや、といった欠点が多い。こういうやっつけ仕事はちょっとどうかと思うが・・・。