さすらいの女王

中村うさぎ『さすらいの女王』、文藝春秋、2005

週刊文春の連載「さすらいの女王」の2004年1月から2005年2月までの分を本にしたもの。こういう週刊連載で、中村うさぎのように自分の生活をそのまま文章にしていると、ジェットコースターのように上がり下がりが激しい生活を読者も追体験させられて目が回りそう。

内容は相変わらずの浪費と整形手術、それにこの本では子宮筋腫の検査から癌ではないかという疑いが出て著者がそれに振り回される(結果は癌ではないということになったのだが)てんまつが書かれてあって、読んでいる方が汗をかいてしまいそう。

しかし、破綻一歩手前の浪費生活を送りながら、そこから何かをつかもうとする著者の生き様には脱帽。まあ、ふつうに考えれば区役所から差し押さえが来る前に、浪費を一時的に止めて税金払えばいいのにと思うけど、そういうちまちましたことはやりたくないのだろう。そうしてめちゃくちゃな生活を送りながら、それをエッセイに書くことで遠くから見ている中村うさぎ。やっていることはめちゃくちゃだが、頭は醒めているのである。この距離感が気持ちよく、同時に読後、なんともいえない寒々とした気持ちにさせられる。