五味太郎作品展 [絵本の時間]

五味太郎作品展 [絵本の時間]」、ひろしま美術館

この美術館の夏休み企画。この展示はどうも全国を巡回しているらしい。当然親子連れだらけである。うるさいのはイヤなのだが、そういう展覧会なので仕方がない。

展示してあるのは、絵本の原画。たぶん10冊分くらいはあった?「みんな うんち」「かかかかか」「がいこつさん」「まどから おくりもの」「みんながおしえてくれました」「ぽぽぽぽぽ」「ももたろう」その他。これらは原画だけでなく、出版された絵本も椅子の上においてあって、勝手に読めるようになっている。それから、これらの絵本の一部をアニメーションにしたものをモニタで流していた。こっちは4本分、30分ほどあったのだが、全部見ているひまはないので、半分だけ見ておわりにした。

自分は年齢の関係でこの人の絵本を子供の頃に読んだ記憶はあまりないのだが、展示を見ると、1970年代からえんえんと書き続けているのである。その数約350冊。多い年は1年間に20冊以上出している。おそろしい。展示の中に作者の言葉があって、「ぼくは絵本づくりが楽しくて仕方ない」といっているが、いいかげんな書き飛ばしでなく、一冊ごとに気合いが入っているのだから、たいへんなものである。

とはいえ、ひねくれた自分の感覚からすると、もうちょっとひねりがないと読むのはつらい。例えば「ももたろう」とか、悪者退治の話をみんな仲良しみたいな話にするのはどうなのよ。「みんな うんち」も、せっかく糞便を書くのだったら、象のふんとねずみのふんには何が入っているのかとか、糞便の中に蛆や寄生虫が生きているところとか、いろいろ書けるでしょ、と思ったりする。

まあ、子供はきゃっきゃと素直に喜んでいる様子なので、これは単なる大人のイチャモンでしょうけど。絵自体はシンプル、すなおな絵で、色遣いもよし。