欲に咲く女、欲に枯れる女

岩井志麻子『欲に咲く女、欲に枯れる女』、イーストプレス、2008

エッセイ(というのか?)。内容は、岩井志麻子先生の回りにいるいろんな人々(たいていかなり痛い)の欲望図鑑。欲といっても金の欲だけではなく、「可愛い女といわれたい」「別の自分になりたい」「欲の内容があまりに身の程知らず」「他人のものを自分のものにしたい」とか、いろいろと種類がある。

他人の欲望のこっけいさは観ている分にはおかしいが、ちょっと考えれば欲のタネは自分の中にもあるわけで、あまり無邪気に他人を笑ってはいられない。その辺の距離の取り方がむずかしいネタだが、志麻子先生は、さすが、そこはイヤミにならないように上手に仕上げている。というか志麻子先生自身がオヤジなので、そういう立ち位置から他人の笑えるところを見てもあまりイヤミにならない。ここは志麻子先生ならではの芸といえる。

最後のあとがきで、志麻子先生自身が韓国の男の子(18歳年下だそうな)にハマって入籍するエピソードが。ちゃんと自分を使ってオチもつけているのである。巻頭に西原理恵子のマンガがついていて、これも乾いた笑いが出てくるよいネタに・・・。サービス精神が非常に旺盛な本。